マイクロプラスチックは「直径5mm以下のプラスチック粒子」のことで、劣化したプラスチックの破片やマイクロビーズなどで構成されています。 ポイ捨てされたペットボトルなどの川ごみが海に散乱し破片化すると、海水中に溶けている有害化学物質などを吸着します。とても小さい粒子であるため、えさと間違えて魚や海鳥などが食べてしまい、食物連鎖により海洋生態系に悪影響を与えることが懸念されています。 人の健康被害につながるかどうかは、調査・研究がはじまったばかりであり、まだ判明していませんが、リスク評価ができないこと自体がリスクともいえます。マイクロプラスチックの汚染を考えてみると、日本近海の海水や世界の海水を原材料にしたお塩はマイクロプラスチックが含まれている可能性が高いといわれています。実際に、韓国の仁川大学と環境保護団体グリーンピース東アジアの研究者グループが、世界中の39品目の市販の食塩(海塩、岩塩、湖塩)のうち、36品目からマイクロプラスチックが検出されたことが2018年10月にエンバイロメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジーに発表されました。結果は最大で1kgあたり1674個のプラスチックの微粒子が確認されました。調査に使用された食塩は、オーストラリア、ベラルーシ、ブルガリア、中国、クロアチア、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、インドネシア、イタリア、韓国、パキスタン、フィリピン、セネガル、台湾、タイ、英国、米国、ベトナムの21カ国で取れたもの。39の銘柄のうち、28銘柄は海塩、9銘柄は岩塩、2銘柄は湖塩でした。前述の、「マイクロプラスチックが検出されなかった3銘柄」は、台湾産の精製海塩、中国産の精製岩塩、そしてフランス産の未精製の海塩でした。マイクロプラスチックが見つかった塩の中でも最も多く含まれていたのはインドネシアの食塩。東南アジアはプラスチック汚染のホットスポットの1つとして知られていますが、中でもインドネシアは、海洋へのプラスチックごみの排出量が中国に次いで世界で2番目に高い国であることが知られています。 なお、塩の種類別で見ると、マイクロプラスチックの含有レベルが最も高いのが海塩で、続いて湖塩、岩塩でした。 中国では、日本の精製塩が人気になっているという話がありますが、これは公益財団法人 塩事業センターが製造している「食塩」がイオン交換膜により製造されているのでマイクロプラスチックの混入が防がれているということが理由のようです。 取り込んだマイクロプラスチックが人体に及ぼす影響に関しては、まだ理解が十分進んでいないのが実情です。直径130ミクロン未満のマイクロプラスチックは「ヒト組織の内部に入り込み、局地的な免疫反応を引き起こす恐れがある」との論がある一方、英イーストアングリア大学のアラステア・グラント教授(生態学)は、この研究で特定されたマイクロプラスチックが「人体の健康に著しい危険」をもたらす証拠はないと述べています。 ただ、「たとえマイクロプラスチックが体内に入ってきても消化されず腸を通過して体外に出てしまうなら人体に悪影響はない」と一部では言われているものの、そのような異物が体内に入り、またマイクロプラスチックに吸着した環境ホルモン等の有害物質が与える影響を考えると、少しでもマイクロプラスチックの摂取は避けた方がいいかもしれません。 自然塩(この表記は不当表示)をとると健康になると推奨している方たちはこの問題をどう考えるのか聞いてみたいものである。私が、考えるマイクロプラスチックが極力はいっていない塩の選び方は、塩事業センターの食塩、粉砕してある岩塩となりますが、これらはほぼ塩化ナトリウム99%以上のマグネシウム・カルシウム・カリウムがほとんど含まれていない塩ということになってしまいます。 由々しき問題です。 2019.08.11
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